見かけはチャラいが、脅威の観察眼と卓越したスキルで患者の心の奥深くにまで踏み込み、本人すら気づかない心の病いを治療するスーパー心理学者の活躍! 

 

サイコドクター楷恭介のあらすじ

心理学者兼カウンセラーの楷恭介(かい・きょうすけ)は、街中を歩く人々を観察中、興味深い「症例」に2件出会った。1件はPCショップで何故か無料カタログを大量に入手する木之元拓也(きのもと・たくや)、もう一件は蒸し暑い日にも関わらず、何故か首にスカーフを巻いている森脇 結(もりわき・ゆい) 

 

恭介は心理学者ならではの鋭い観察眼と催眠療法を駆使し、結の首にできている「ヒステリー球」が、最愛の恋人である拓也を心の奥で信じきれていないがために発症したものであることを突き止める。一方、拓也は、結を始め5人もの女性らを誘惑し、金を絞りとる狡猾な詐欺師という人格と、倉地 衛(くらち・まもる)という温和で裕福な若き牧師という人格を併せ持つ「多重人格障害」に罹患していた。 

 

結のヒステリー球を治し、かつ結の拓也(衛)への愛を失わずに済ませるため、恭介は結と共に拓也(衛)の心の迷宮に踏み込むのであった。 

サイコドクター楷恭介のネタバレや感想

まるでドラマの名探偵のように、初めて会った結さんの勤め先から職業、ワークスタイル、そして心の病までビシバシ当ててしまう恭介さん。「貴方の首にあるそのコブ、耳鼻咽喉科じゃ治りませんから」と脅され、半信半疑ながらも恭介さんのクリニックを訪れた結さんは、忌々しいコブが実は心の葛藤から発症したものだということを知らされます。 

 

同僚はみんな敵というシビアな職場で戦い続け、気がついたらすでにアラサー。これじゃあ結婚なんてもう無理ね、と諦めていたところに突如現れた素晴らしい男性…なんだけども、ホテル代を立て替えるのは何故かいつも私。 

 

愛してるわ拓也さん。でもお金返して。あら私ったら何言ってるの?彼を信じられないの?いいえ、私、拓也さんを信じてるわ。てか、信じたい。でもぶっちゃけ返すって言っといて全然返してくれないし、でも下手に催促なんかしたら「僕を信じられないのか?」って怒られて最悪フラれちゃうかもしれないし、そんなの絶対嫌だし、でもでもでも…ってことで出来ちゃった「ヒステリー球」なんだそうです。心の葛藤が半端ないですね。 

 

一方、結さんにヒステリー球をこしらえさせた恋人の拓也さんは、実は同じ手口で次々と女性たちをたぶらかし、金を巻き上げているプロの詐欺師。うわとんでもない奴っちゃなー…と思ってたら、実は拓也さんは衛さんの「別人格」で、当の衛さんは自分が「木之元拓也」として外で悪さをしてるなんてことは全く知らない。 

 

豪邸に住み、優しいお母さんと働き者の使用人と可愛い愛犬に囲まれた心優しいイケメン…なんだけども、お父さんが寝たきりになっちゃった。悲しいよ、苦しいよ、どうしよう?どうすればいい?…ってことで罹っちゃった「多重人格障害」なんだそうです。要は、現実逃避のために、性格が真逆の別の人格をこしらえちゃったってことなんでしょうね。 

 

悪人の拓也は善人の衛をよく知ってる。でも善人の衛は悪人の拓也を全然知らない。結は拓也を愛してる。でも拓也は悪い奴だった。でも衛は悪くない。結が拓也(=衛)を罵り倒せば首のコブは治る。でもその代償として二人の愛が終わりを告げ、衛が拓也の存在を知ってしまう。でも恭介さん曰く、衛は拓也の存在を知っちゃいけない。聖人のような衛のことだから、知っちゃったらショックで何をしでかすかわからない。 

 

何とも面倒くさいシチュエーション。困りましたね。 

 

そこで恭介さんがこの複雑な事態を解決すべく、結さん立ち会いの下で護と拓也の「二人」と対決するのですが… 

 

  • 拓也、自分の部屋で恭介たちに「貴様ら、よーく見てろ。俺が衛の秘密を見せてやる」 
  • 母親、息子の部屋をノック「衛?お客さんでもいるの?」 
  • 拓也⇒衛「???貴方がたは一体誰?なぜ僕の部屋に…?」 
  • 恭介「衛さん、実は貴方は木之元拓也という人格で詐欺を働いていて、結さんはその被害者です」 

 

うおおおーーい恭介さん!それ言っちゃいけないんじゃなかったのおおーー!?

 

まとめ

脅威の観察眼を持ち、人間の心理を知り尽くしている男、楷恭介。心理学者兼カウンセラーとしての優れた才能とスキルを備えており、患者の容姿や行動から、さながらマジックショーのように患者の事情を細かいことまでピタリと当て、相手の度肝を抜いてしまいます。 

 

この調子で要領よく営業をかけていけば、間違いなく客がわんさと彼の診療所に押しかけてくると思うのですが、診療所はボロく、あまり儲かっていない様子。診察料が格安なのか?儲けを度外視してまでも人を救いたがる極度のおせっかい焼きなのか? 

 

普通の人なら見過ごしてしまうような些細なことでも、恭介さんにとっては患者の心の悩みを解くための重大な手がかり。「なるほど!」と思わせる鋭い観察力と、得られた手がかりを元に患者の深層心理にじわじわと入り込んでいくテクニック、そして徐々に暴かれていく患者の思いがけない秘密が、作品の一番の魅力となっています。