人ならざる者達の交易の場にようこそ。お客様の欲望を満たす品を取り揃えております。 

異空間に棲む悪魔との取引を通して人間の業を生々しく描くSFファンタジー! 

 

バベルハイムの商人のあらすじ

バベルハイム。それは悪魔や精霊など、人ならざる者達の貿易の場である。バベルハイムで流通している「運命金貨」を手に入れさえすれば、人間でも悪魔の商人「ユージン」を通して彼らと取引を行い、希望の品を購入することが出来る。 

 

大富豪のノーマンは、この運命金貨をオークションで落札し、バベルハイムへの扉を開けた。彼が欲するのは、彼の妻の永遠の若さと美貌。取引は成立し、ユージンから世界最大級のダイヤ「天空の窓」を手に入れる。 

 

バベルハイムの住人の一人であるダリアの説明によると、このダイヤの所有者は、ダイヤを身に付けていなくても、他の者に売却するか譲渡して自ら手放さない限り、永遠に若さと美貌を保つことが出来るという。 

 

ただし、この品には条件が付いていた。「この宝石を譲渡する相手(ノーマンの妻)以外の人間に見せてはならない。この条件に違反した場合は、譲渡した者(ノーマン)が大切にしている者に不幸が訪れる」というのだ。 

 

条件を遵守することを約束し、ダイヤを妻に贈る日を心待ちにしていたノーマンだったが…。 

 

バベルハイムの商人のネタバレや感想

人ならざる者が貿易を営む異界バベルハイム。そのバベルハイムと人間界をつなぐ運命金貨を手に入れれば、悪魔の商人ユージンを通して、何でもお望み通りの品物を手に入れることができます。そう。たとえそれが「永遠の命」であっても。 

 

大金持ちで自分の力を他人に誇示せずにはいられない「自己顕示欲の鬼」ノーマンさんは、自慢の財力に物を言わせてオークションに出ていた運命金貨を落札し、バベルハイムへの切符を手に入れます。 

 

  • ユージン「お望みの品は?」 
  • ノーマン「妻に永遠の美貌と若さを与えたい」 

 

ほう…自分のためじゃなくて奥さんのためですか…見上げた精神ですね…と思ったら、やっぱり若くて美貌の奥さんをいつまでも皆に見せびらかしたいだけでした。この人の自己顕示欲、半端じゃないです。 

 

  • ユージン「この宝石、絶対奥さん以外に見せちゃだめですからね?」 
  • ノーマン「了解!」 

 

ノーマンの友達(以後「ノマ友」)「奥さんのプレゼント、超スッゲーの買ってあるんだろ?見せろよ」 

ノーマン「え?え、えっと…」モジモジ 

ノマ友「ん?反応が鈍いな…さては、結局買えてないんだろ。『俺って超スッゲー奴だから超スッゲーの買うゼ!』なーんて言っといて。で、何?『やっぱ無理でした』ってオチ?ダッセー!超ダッセーよお前! ハハハッ(挑発)」 

ノーマン「なっ…!あっあるわい!超デッケー宝石の首飾りなんだゼ?おまいらにゃ逆立ちしたって買えない超タッケー激レアもんなんだゼ?」ワナワナ 

ノマ友「おお!買ってあるのか!さっすがノーマン!やっぱ超スッゲーよお前!で?ブツは?出し惜しみしてないでさっさと見せろよ。俺ら友達だろ?ホラホラ(おだて)」 

ノーマン「フフン お預け食らった犬みてーにキャンキャン騒いでんじゃねーよ。いいか?見せるぞ?見て腰抜かして『アワワ』とか言うなよ?エッヘン(大得意)」 

ノマ友「ちょろい…」ボソッ 

 

超スッゲー自分を人に自慢したくてたまらないノーマンさんは、こうしてお友達のちゃちい挑発にまんまと乗せられ、悪魔に「関係者以外に見せちゃダメ」と言われてるものを部外者にしっかりと見せてしまうのでした…バカバカ!ノーマンさんのバーカ! 

まとめ

悪魔の商人ユージンと、彼と取引して己の望みを叶えようとする貪欲な人間たちが織りなす哲学的要素を持った作品。人生の教訓に独特の世界観を絡めた、現代の童話といったところでしょうか。 

登場人物が欲に溺れ、せっかく与えられたチャンスや物や能力をうまく活用できずに自爆してしまう展開は、「ドラえもん」や「笑ゥせぇるすまん」などで使い古されている感があり、オチ的には少々斬新さに欠けるところはありますが、繊細な線で構成された妖美な絵柄と巧みな表現方法で、異形の民が棲む神秘的な世界と、次第に暴走を始める登場人物の欲にまみれた表情が実に活き活きと描かれており、メインキャラのユージンを通して暴かれる人間のドロドロとした欲望と因果報応の悲惨さが生々しく伝わってきます。また、一話完結のスタイルを採用しているので、途中から読んでも楽しめます。 

さて、今宵はどなたがバベルハイムの扉を開けるのでしょうか…?